大企業でどのようにホワイトカラーの生産性を高めていくのか。巷で騒がれているERPやSCMとかキラキラしている3文字英語に頼らない解決策の1つが書かれている。
ただ、書いてある内容についてどう思ってどこまで自らに活かすのかは読み手に大きく委ねられている。
仕事柄3文字英単語に触れることが多い。ここ最近はHCM、EPR、BPR、CRM、SCCなどがその代表的なものだろう。これらの英単語は大企業の中でモテはやされ、大きな企業で働く人たちよりもこの3文字英単語をうまく扱うコンサルタントの食い扶持となっている。
多かれ少なかれ私自身はその一人なんだけど、この著者はそんな3文字英単語を切り捨てる。3文字英単語に傾倒する経営者を譜面依存と切り捨て、経営者のあるべき姿ではないと語る。
そんな著者はコンパクトディスクが出てきた絶好調な頃のソニーに就職し、ソニーの中で楽しく、出る杭として”楽しく”仕事をした後、コンサルタント業界に転身、今は日本の製造業の革新を目指すコンサルタントとして経営者として働いているよう。
当時のソニーは出る杭大歓迎の尖った時代だったが、その風土が弱くなってしまい、”普通”の企業となってしまったことが現在のソニーの衰退につながってしまっている記されている。
業務プロセスを考える視点や、どのような従業員で構成される会社が好ましいのかの話はたくさんの従業員を抱える必要のある製造業という業種の企業に関わる際に参考になる視点が含まれている。
その中でも琴線に触れた2つのことがお局様の必要性と日本のホワイトカラーのショボさのお話。日本の生産性を高めるためにはホワイトカラーの生産性を上げていく必要があるという話は自分への戒めとして心に留めておこうと思う。
【引用】
エレクトロニクス事業が2001年度に赤字転落するなどしてソニーが業績低迷に喘ぐ中、私を含めてソニーの誰もが仰ぎ見ていた事務系花形部門の最高峰、本社経営企画部門へのコンサルティングを行なうことになる。
「普通」とは「本質的には非常識な一般常識」を意味する。 「普通病」が高じて、「ソニー神話」は崩壊した。
「ソニーで働いても楽しめないと思ったら、すぐに辞めなさい」
愛社精神は尊ぶべきものである。だからこそなおさら、会社を愛するなら「会社のため」ではなく、「社会のため」に働くべきなのだ。
本来、世界は、働くことをただ楽しめばいいようにできている。
特に日本企業でよく耳にする台詞のトップ3を導き出すとすれば、1番目:「会社のため」 2番目:「そんなの聞いてない」 3番目:「我が社流」
会議なんてほとんどないブルーカラーの生産性は、今なお世界のトップレベルであることを考えれば、会議に頻繁に参加するホワイトカラーが、日本の生産性の足を引っ張っていることになる
「我が社流」の企業文化とかビジネスモデル(ビジネスの大枠の仕組み)は大いにあってしかるべきものであるが、「我が社流」だとされる業務プロセスなど、大方不要である
会社というものは、社会全体に対して感度の良い組織でなければならない。そしてそのためには、社内の性別、年齢、学歴面での人員構成を、社会のそれと近似値に保つ必要がある。
高学歴者だらけである中央官庁が世の中からいかに乖離した存在であるかを、我々は、既によく知っているはずである。
お局さんとは、仕事に筋を通すことを何よりも重んじる、経験豊富な職業婦人のことであり、職場の良心である。
我々は、会社員である前に職業人である。職業が何であれ、職業人としての誇りや楽しさを、まずは自ら再発見し、情熱を込めてそれを若い世代に対して語るべきなのだ。
【手に入れたきっかけ】
Kindleキャンペーン
【オススメ度】
★★★☆☆
小檜山 歩
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