大人になることを自分の心に落とし込んでいく過程 in 中途半端な田舎。
大人になっていない、でも、間違いなく子どもではない時期に子どもの頃から今につながっているいろんな出来事を受け取っていく。
日本では20才で成人式を迎え、大人になったとみなされる。でも、20才になったからってすぐに大人になれる訳じゃない。いろんなことがあって、少しずつ”大人”なるものになっていく。
25になって仕事して、給料をもらっていても大人になった気がしない。結婚もしてないし、もちろん子どももいない。職場が近いからといって未だに実家暮らしなこともその原因なのかもしれない。
だから、出てきた「成人て三十歳ぐらいでいいよね」がとてもしっくりきた。30才になれば、自分は大人だと胸を張って言える気がするから。
決められた大人と本当に大人になる間の物語。歌のタイトルを借りれば「こどなの階段」を登っている途中。
駅前にはそれないのショッピングセンターと繁華街がある。でも、少し離れた所に行くとなるとバスが1時間に2本しか出ていない中途半端な田舎である片見里の寺に29才で定職にもつかずにブラブラしている一時が現れた。
小6の最後の半年だけ片見里に住んでいた一時はその頃の同級生で寺を継いだ徳弥と再会し、クラス会に出ることとなる。
昔のことを思い出しながら、クラス会に参加していた一時はある話を耳にする。それは一人の同級生の女子の名前ときな臭い話。そこから物語が動いていく。
スケールは地方の中途半端な田舎にとどまり、こんなことならどこの街にも1つはあるだろうと思う話だけど、地元意識がうすーく残り、外から来た人たちを認めないような街の物語としてリアリティとスピード感を持って読ませる一冊。
少し発展したどこにでもあるような”田舎”で起こった事件をこどなたちが過去のじぶんと一緒に追っかける。
【書き出し】
17年半ぶりに訪れた片見里は変わった。と言えるほど、僕は片見里を知らない。
【キーワード】
谷田一英
一時
徳弥
堀川丈章
スカートめくり
市議選
30前
中途半端な田舎
ツカモトミノル
【引用】
人に説明はさせるけど、それは自分が理解するためではない。
どこへでも行けるというのはどこへも行けないのと同じだ。というようなことを、誰かがどこかで言っていた。
成人て三十歳ぐらいでいいよね
たいていの人間は、笑顔がそいつの一番いい顔になるもんだが、丈章はちがう。何故かと言えば。やつが笑うときは、いつも人のことを笑うからだ。他人のことを、嗤うからだ。
【手に入れたきっかけ】
「本が好き!」の献本キャンペーン!
【オススメ度】
★★★☆☆
小檜山 歩
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