「自分が面白いと思うものだけを追求すること。それが非道の生き方」
大変なこと。
自分が面白いと思えないこともやることを世間では「丸くなった」とか「大人になった」とか表されるのかもしれない。
ただ、非道の生き方を中途半端にやるのではなく、突き詰めることで生まれるものがあるんだろう。園子温が生み出す映画もその中の1つなんでしょう。「愛のむきだし」、「冷たい熱帯魚」、「ヒミズ」、「希望の国」。タイトルを聞いたり、目にすることがあっても結局、この人の作品を現時点は1つも見ることが出来てない。何か怖いのかもしれない。
一応、大きな会社に入り、それなりに安定している部分が否定されるような気がするのが怖いのかもしれない。でも、1回は見てみよう。そこには何かがあるだろうから。自分がやりたいこと、面白いと思うことを表現してきた映画監督、園子温がその生き方を生まれてから今までの映画監督人生から辿っていく。
確かに自分が疑問に思ったことをそのままにするのではなく、体を使って表現する表現者がそこには居る。読んでいておかしいんじゃないか、とか思う反面、自分の中にある気持ちが湧き上がってくる。会議中にいきなり席を立って出て行ったり、心に思っていることを全て出してしまおうかと思っていた気持ち。
ただ、そこで出さない自分は非道ではないんだろう。安心するとともに、少し寂しい気持ちが無いワケではない。園子温さんの文章にはまず、迷いが見えない。自分が面白いと革新していることをやり抜いている人だと思う。
迷いのない真っ直ぐさを感じるために園子温の作品を一作観てみようと思う。
【引用】
自分の才能とやらを後生大事に守っているうちは、つまらない映画監督にしかなれない。下水道に叩き落とされて、ドブの水を浴びるほど飲んで、才能の欠片もないとせせら笑われているときに、燃え立つような「やる気」が出て、目眩がするくらい憎しみが沸き立つ。その「刹那」に生きたい。
僕にとって血は詩と同じです。実際に流れる自分や他人の血は大嫌いだけど、映画の中で流れる血は好きなんです。
松本智津夫を犯人にして死刑にすることでは到底解明されない、社会の「理解しがたい不気味さ」というものがある。
僕は「頑張れ」というのは誰でも言える、無責任で好ましくない言葉だとも思っていました。リアリティのある「頑張れ」の使い方にはどんなものがあるだろう。『ヒミズ』の制作中に僕はそう考えるようになっていた
【手に入れたきっかけ】
どこかで紹介されていて購入!
小檜山 歩
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