未来に飲み込まれ、旅して欲しい 『2312 太陽系動乱』(キム・スタンリー・ロビンスン)【本】

 

人類が地球外に定住し、しばらく経った時代。地球外に住んでいる人たちからすると、地球は置いてきぼりになっている時代。

宇宙エレベーターはもちろん、水星上で太陽から逃げながら住人たちの生活を護る移動都市や頭の中にキューブを埋め込んでいる人たちまで、2312年にそこにある1つの世界の中での物語が描かれる。本当にこんな世界になるのかもしれない。

著者はSFの大きな賞をいくつも受賞している作家らしく、SF好きにはこの作りこまれた世界はたまらないんだろう。そこまでSF好きではない自分もここまで細かく未来とそこに行きつくまでの過程が描かれた本を読んだのは初めて。

この本によると、2014年から2312年に至るまでの約300年にいくつもの革命が起こる。性革命や長命化革命を経た後の人々は男性と女性の両方の性器を持ち、頭にキューブを埋め込み、120才ぐらいまでであれば余裕で生きられるようになる。そこまでの過程が丁寧で本当にそうなるのかと思わせる。

世界観だけでもお腹いっぱいだけど、メインとなる物語がある。突如発生した移動都市への攻撃。誰がやったのか不明な出来事は2312年だからこそ起こる事件で、人の何かを揺るがす可能性を持っていた。

その事件をめぐって中国系火星人のスワンを中心に進む物語。未来に飲み込まれ、旅して欲しい。

【書き出し】

太陽はいつものぼる寸前だ。

【キーワード】

スワン

ワーラム

ポーリーン

サンウォーカー

インタープラン(惑星間警察)

モンドラゴン協約

キューブ(量子AI)

宇宙エレベーター

ポストヒューマンと完全な人間

検出下限(ミニマム・ディテクション・リミット)

テラフォーミング

常温量子コンピュータ

地球の百十億人

海面上昇にうんざり

チェス

【引用】

後期旧石器時代革命、科学革命、産業革命、性革命、バイオ革命、諸革命の合流点としての加速(アッチェレランド)、宇宙ディアスポラ、ジェンダー革命、長命化革命

テラリウムでは、人は動物のように自由に生きられたー動物になって、自分の好きなように暮らせた。好きなだけ裸になれた。ところがくそいまいましい地球では、積み重なった伝統だの法律だの習慣だのが、どんなボディブレースよりも体を縛っていた

身長3メートル近い人もいれば1メートル以下の人もいる現在では、ジェンダーはもはや人類間の最大の区分ではない

【手に入れたきっかけ】

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【オススメ度】

★★★☆☆

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。