原発の特集だけで、本ができてもおかしくない充実さ「週刊 東洋経済 2011年 6/11号」

無料購読キャンペーンの2冊目。これは、良かった!無料購読してよかったと思った号。目次を開くと特集は「暴走する国策エネルギー 原子力」という題でした。経済界は全体として原発批判に消極的な中、こんな見方によっては過激な題をつけることには驚きがあった。その中で、原発の本当の経費や核燃料サイクルの破綻、東大内の嫌がらせなどが含まれているのはとても刺激的。また、新聞の協力や、将来の原発として「トリウム溶融塩炉」(P60)という技術が紹介されていたのも十分一読に値する内容。いくつか、興味深い記述を引用する。
原発は費用が安いという話に対して

P47 原子力と揚水を足したコストは2007年度で1キロワット時約9円と、国の試算の約2倍であり、火力の約11円とほぼ同じであることが判明した。
ちなみに、揚水を除いた一般水力発電のコストが約4円で最も安く、国の言う「水力12円」説の“ウソ”も、併せて明らかになった。

原発平和利用と昔の読売新聞の関係について

P54 読売新聞は54年正月、「ついに太陽をとらえた」と題する、原子力の平和利用をたたえる大型連載を開始。3月にマグロ漁船が米国の水爆実験に巻き込まれる「第五福竜丸事件」が発生し逆風が吹く中でも、「原子力展」を開催するなど推進役の旗頭を努めてきた。同社の正力松太郎社主は、その後衆議院議員となり、初代の原子力委員会委員長および科学技術庁(当時)長官を務めた。

他のマスコミとの関係についても

P57 立地反対運動が盛り上がっていた70年代には、電力業界のマスコミ対策も進んだ。電事連の広報部長を務めた鈴木健氏の著書「電力産業の新しい挑戦」によれば、74年の夏、朝日新聞に打った10段の広告が、全国紙初の原子力広告だった。これを機に地方紙も掲載許可へと転じ、正力社主以来「親原発」の立場を取る読売新聞からも広告掲載を要請された。
朝日と読売に月一回、原子力広告が掲載されるようになると、毎日新聞広報局も掲載の要請を行った。当時、同紙は反原発キャンペーン中だったが、鈴木氏は編集幹部も交えた席で「消費者運動をあおって企業を潰すような紙面作りをやっていたのでは、広告だって出なくなる」と“恫喝”。キャンペーンは紙面から消え、読売から一年遅れで毎日にも原子力広告が掲載されることになった。

核燃料サイクルについて、自民党の大物幹部が話したとされる一言を引用する。

P58 「核燃料サイクルが無理なのは全部わかっている。だから六ヶ所(村再処理工場)はずっと“試運転”をしていればいいんだ。動くと言い続けないと、原子力の神話が崩れてしまう」

東大と原子力の関係についても

P69 異分子を排斥し、批判的な論理を封殺してきたのが東大の原子力工学科だった。

自民党の河野太郎議員の

P 74 私の主張は「反原発」ではなくて、「反核燃料サイクル」。日本の核燃料サイクルの議論は破綻している。

などなどがある。もちろん、これは、抜粋しているものなので遠目で見る必要があるし、全てを間に受けることは危険である。しかし、こんな見方を大きく提示しているものも現状では少ないのが事実であり、その知らないことを知るために、この号はかなり大きな価値があり、読むべき。
もちろん、賛成派の意見も載っているのでそれも、読むべき。比較することも十分可能だろう。こうゆう問題だからこそ、賛成派、反対派など、色々な程度や考え方がある中で、対談形式で原子力を語る試みがあると、もっと面白くなったんじゃないかな。と思ったりする。他の記事も面白かったけど、この原発に関するものには勝てないかな。この特集だけで、本ができてもおかしくない充実さだから。☆5つです。

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。
小檜山 歩
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