(ネットの献本サービスで頂いた一冊です)
よくある警察モノの陰謀モノ。そう片付けてしまうのは勿体無いんじゃないか。献本で頂いた。他の書評では結構、ボロボロに書かれている。確かにスッゲー!というほどではない。でも、自分は☆4つを付けさせていただく。
それは、気付きにくいことと人が触れるのを避ける事が入っているから。気付きにくいことは、人はコンピューターを使っているのではなく、使われているのではないかということ。触れるのを避ける事は出会い系サイトのお話。
見当たりというお仕事、300~500人という指名手配犯の顔を覚え、街の中でその中の顔を見つけ、逮捕することのみが仕事である40才ぐらいの警察官、白戸が主人公。ある時、見当たりで捕まえた犯人がこの逮捕は陰謀であると叫ぶ。
白戸は違和感を持ちながらも同僚の警察官に引き渡す。その際、見るはずのない顔を、この逮捕劇で注目を浴びている自分を見つめる顔の中から見つける。見当たりが覚える顔、そして、決して見つけることがある訳がない顔が目に入った。ここから物語は進んでいく。
物語は監視の仕組みや、権力のお話にもなる。そして、主人公は出会い系サイトで出会った女性と同棲をしている。こっちでももう一つの別のお話がある。メインの話と同じくらい、自分はこっちにも食いついた。文中に「出会い系サイトで出会った二人は、出会い系サイトで浮気するかもしれない」とあるように、出会い系での出会いは考えることが多い。
ただ、今の20代で出会い系を使ったことのない人がどのくらいいるのだろうか。出会い系で会って、結婚した人はどのくらいいるのだろうか。そんな人は結婚式で2人の出会いをどうやって説明するんだろう。
コンピューターが人間をある意味超え、監視・管理する社会になっているというメインのストーリーもハラハラさせた。ただ、それにもう1つの軸があること、それが出会い系という少し話すのがためらわれがちなテーマだったことも低評価にならない理由。ラストのページは早く先に!と思いながら読めたので。
P7 ただ、顔を見つけた。毎日100万人が行き交うといわれる新宿西口のあの場所に立ち、群衆の中に飛び込んできたたった一つの顔を見つけ出したのだ。それを、捕まえるだけのこと。
P149 良いことでも悪いことでも、自分は常にその当事者になるかもしれないと思わなきゃ
小檜山 歩
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