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中島翔子が超えていった。弱さを見せられるチャンピオンもいいじゃないか 東京女子プロレス「GRAND PRINCESS ’22」プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合 山下実優 VS 中島翔子

とうとうメインイベントにたどり着いた。大会はここまで東京女子の魅力たっぷりで見ている人が疲れさせない工夫もあってあとはメインを締めるだけになった。

DDTの両国大会のダークマッチでデビューしてここまでやってきた2人。タッグマッチでデビューして相手を務めた二人はすでに東京女子のリングからは去っていてオープニングで東京女子に対する想いを話していた。はじまりの日に一緒にリングに立っていた四人のうちの二人が最初に話し、最後に残りの二人が団体の頂点を争うシングルマッチと戦うことになるというこれ以上の物語はないと思えるような試合が始まるとしている。

東京女子は坂崎ユカ、山下実優、中島翔子が作り上げていった。でも、変わる。

東京女子の初期から関わっている辰巳リカが大会の会見で東京女子をここまで持ってきた中心の3人として挙げていたのが坂崎ユカ、山下実優、中島翔子の3人。坂崎ユカがセミファイナルを締めた上で残りの2人でメインを戦うのがこれまでの歴史を全部出し切る思いを感じさせた。東京女子の”強さ”の象徴である王者の山下実優は空手の経験者ということもあり、プロレス経験がない人しかいない東京女子プロレスのリングを引っ張ってきた。対する中島翔子は東京女子の何の象徴なのか。中島翔子の姿を見ていると”努力”の象徴なのではないかと感じる。

全ての選手が努力しているのは当然のことながら、”身長147cmの大怪獣”というキャッチフレーズからもわかるように小さい体ながらも絶え間ない真っ直ぐな努力でここまで上がってきた。この試合に向けて髪を短くし、背中の筋肉を鍛え上げた姿を見せて両国国技館のメインに立った。会見では中島翔子は山下実優に勝つことが大切であり、これが最後のチャンスなのかもしれないと話した。もちろんすぐにプロレスを辞めるわけではないのだろうけど、東京女子が大きくなっていく中で東京女子を引っ張ってきた選手の区切りの試合になることを期待させた。

煽りVがたまらなくよくて、試合前からメガネが曇っていたのだけどその中で出てきた言葉がある。

変化よりも怖いのは止まることだ
このまま時間が止まればいいのに。それでも私たちは止まらず進む

GRAND PRINCESS ’22| DDT、プロレスリングノア、東京女子プロレス、ガンプロ、路上プロレスを見るなら | WRESTLE UNIVERSE(レッスルユニバース) | WRESTLE UNIVERSE
https://www.wrestle-universe.com/lives/wUG8hP5iApC63jbtQzhVVx

プロレス団体は初期メンバーが大きくなることで団体自体が大きくなっていく。新日本プロレスアントニオ猪木が引っ張り、全日本プロレスをジャイアント馬場が引っ張ったように東京女子プロレスは山下実優、中島翔子、坂崎ユカが作り上げていった。でも、初期メンバーが引っ張ることはずっとは続かない。初期メンバーが引っ張り続けることで東京女子プロレスはなくなってしまうかもしれない。そうならないために後輩たちに歴史を繋いでいくのだろう。プロレスラーとしての寿命が男子よりも短い女子だからこそこの試合が大きな区切りになるのかもしれない。そんなことを感じながら2人が入場してきた。

まっすぐ入場してきた2人。握手した2人。いつも通りの東京女子で

ここまで大会はいろんな演出がてんこ盛りだった。新日本プロレスでも活躍したリングアナウンサーである田中ケロさんや初代リングアナウンサーである桃知みなみさんがコールをしたり、トロッコやアイドル神輿に乗って入場してきた選手たちもいた。

でも、この試合はいつもの東京女子プロレスだった。テーマ曲が鳴り、それぞれ入場してきた選手をコールするのはいつも通りの難波小百合リングアナでゴングが鳴ったら握手して試合が始まる。

メインイベントは今とこれまで小さな会場でも大きな会場でもコツコツ戦ってきた東京女子をそのまま見せたいという思いが伝わってきた。

山下実優は王者としての戦いをみせていった。食らいつく中島翔子

空手を得意とする山下美優のキックはビックマッチになると更に重みを増しているように見える。リング上でのキックだけでなく、場外へ飛ぼうとした中島翔子に的確にキックを突き刺した。試合序盤は山下がキックで押しており、中島のダメージは大きく、対角線に振られてもフラフラになってしまうシーンもあって、このまま一気に負けてしまうのかもしれないと不安になるぐらいのダメージを感じさせる。そんな中でも目は死んでいないし、戦う意志を見せていった。そんながむしゃらさが中島の魅力で試合はスピード感を増していった。

2連発の場外ダイブを決めて中島が自分のペースに持っていきつつも、山下のやばいキックが突き刺さり、的確なエルボーでダメージを蓄積していく。でも、中島は諦めなかった。

中島翔子の素直で、素朴で、真っ直ぐな姿で両国に幸せな時が流れた

山下実優の攻撃を受けながらも粘っていた中島翔子がフランケンシュタイナーからトップロープからのダイビングセントーンで3カウントを奪って両国メインで山下実優に勝った。前哨戦で予告していた新技は何だったのか気になるのだけど勝ち切った中島に文句はない。試合前から自分の自信のなさをインタビューで答えていた中島らしい等身大のマイクアピールが両国国技館に染み渡った。

もし、私が山下より努力してるって言うんだったら、それは私が山下より怖がりだから。
いつも、私は怖い。
今もこの大きな場所に立っていることが怖くて怖くて仕方ないけど、だから、毎日、一生懸命やってる、つもり。

プロレスという強さを競う競技のチャンピオンがリング上で語る言葉が「怖い」という言葉だったのがいい。この人が本心から語っている言葉が心に入ってきた。ここまでの選手であっても怖い。でも、頑張ればいい。なんとかなるということを伝えてくれていたように思う。ありのままで戦っていく。それでいい。そんなことを感じさせた新チャンピオン誕生のメインは素晴らしかった。

YES! WONDERLAND 2022~夢の翼を広げ~ | DDTプロレスリング公式サイト

https://www.ddtpro.com/results/18016

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。