将棋の棋士である渡辺明さんの奥様が主に夫を取材して知ったことを実物と比べて数段コミカルになった渡辺くんを通して描いていく。5巻はちょっとサブストーリー的な内容が多かった気もするのだけど、6巻になって将棋の世界について立ち戻っている印象がある。
まずは将棋界においても大きな影響を与えたコロナによるいろいろが描かれる。試合がなくなったり将棋会館で試合をしないといけなくなったことによっておやつを準備しないといけなくなったり、マスクをしていると終盤はしんどいなどの実際に棋士に起こったいろいろに触れられる。少しずつ元に戻りつつあるのだけどマスクについては外すことができなく罰則も厳しくなっている現実もあり、どうなるのかが気になってくる。
今の将棋界といえばなんといっても藤井聡太の活躍であり、6巻が進んでいくにあたって藤井聡太の強さが高まっていくことが感じられる。藤井聡太が史上最年少タイトルを獲得した相手でもあり、99%勝利の状態から敗北するなど藤井聡太の注目される試合の相手としてヒール役として出てくることも多い渡辺くんの目線でいろんなことが語られていく。
自分は大山・中原・羽生の大名人の系譜に入らないという話からこれからどう将棋に向き合っていくかについて藤井聡太に勝つことを目指すのか、ナンバー2、3でいくのかによって変わってくるという話や名人は他のタイトルと違うのかということに関する本音を語っていたりとトップ棋士の1人が考えているであろうことをポップに読めるのが楽しい。先日、初めて将棋の専門誌である『将棋世界』を読んだのだけど、難しくて読み続けのは無理だなぁと思ってしまったのでこういうポップな本があるのはありがたいところだったりする。
他にも渡辺くんがファンのシメオネの話だったり、脳が加齢によって衰えるのかという話だったり、馬を買いたいという話だったりといろいろ1人の棋士の日常が描かれていく。渡辺くんがいつまで頑張るのかという話が出てきて、40才という一つの区切りがあってそれについてそれについてどう思っているのかということの棋士としての1つの考え方が興味深い。実際にどうなるのかは分からないけど大名人にはなれないトップ棋士のこの先が更に気になる内容になっている。
【オススメ度】
★★★★☆
小檜山 歩
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