どんな形であれ、勝った方が強いと示すような戦いでTopを決めた　スターダム「LECクリンぱっ！Presents STARDOM WORLD CLIMAX 2022 ～The Top～」 2022年3月27日まとめ

小檜山歩

3年前

「強いものが勝つのではない。勝ったものが強いのだ。」というのはドイツのレジェンドサッカー選手であるフランツ・ベッケンバウアーの言葉であり、たしかにそうなんだろうなぁと感じさせる言葉だったりする。そんな言葉を思い出したのは両国国技館で2連戦を行ったスターダムの2日目の観戦の帰り道。2日とも行くのは難しいこともあって1日目は家で配信を見たうえで2日目は現地観戦となった。

確かに”Best”な試合を見せて完成した一つの女子プロレスの形を見せたスターダム「LECクリンぱっ！Presents STARDOM WORLD CLIMAX 2022 ～The Best～」

スターダムと言えば赤と白の2本のシングルのベルトが団体の売りで、どちらのタイトルマッチも2日とも行われるというチャンピオンにとっては厳しい条件となっていた。1日目はどちらの試合もチャンピオンが最上位フィニッシュホールドで勝ったのだけど、2日目は違っていた。

赤も白も泥臭い戦いの中でどうにか防衛した。これもプロレス。

王道の決め技で決まるのと同じかそれ以上にテンションがあがるのがプロレスの中での突然の決着だったりする。見ている人にとってわかりにくかったりスッキリしなかったりするので嫌がる人も多い。でも、プロレスは横道の戦いとサプライズが入り混じったところの面白さを感じることもあってこれで決まるだろうと感じる試合ばっかりだとつまらないこともあって、たまにあるサプライズを目の当たりにした時にはテンションが上がる。

毎試合サプライズだと技の重みが下がってしまうこともあってケースバイケースなのだけど、今回の赤と白のタイトルマッチはどちらも驚きがある決着だった。特に白いベルトと呼ばれるワンダー・オブ・スターダム選手権試合は挑戦者の中野たむに追い詰められている中でチャンピオンの上谷沙弥が不格好でもいいからと無理やり抑え込んだことによる勝利で「おぉ！」と声があがってしまった。近くの席では不満そうなコメントをしている人もいたのだけどこれもやっぱりプロレスとしてありだろうとうれしくなる。

スターダムに帰ってきた選手たちの躍動

今回の両国国技館の目玉の1つとしてスターダムで宝城カイリとして活躍しWWEに渡ったKAIRIがスターダムのリングに帰ってくることがあった。1日目はスターダムのアイコンであり先輩でもある岩谷麻優とのタッグマッチだったのだけど、2日目はスターライト・キッドとのシングルマッチで帰ってきた初めてのタイトルマッチということもあって注目度が上がっている中でその期待を超えるような戦いを見せた。入場から貫禄たっぷりで一つ一つの技のキレが半端ない中でインセインエルボーというこれだけでもお金を取れるような技でスターライトキッドからピンフォールを奪った。

次のシリーズには参戦していないこともあってこれからどうなるのかは気になっているところではあるのだけど少しずつ参戦を増やしていくのかなぁと思わせる。

他にも突然の引退に驚かされた葉月選手が2021年に復帰をしていてタックのチャンピオンであるゴッテス王座にも輝きこの日は後輩であり、闇落ちした渡辺桃とシングルマッチを戦った。敗れてはしまったのだけどこの人の戦いをまとめることができるのが嬉しすぎる。

スターダムが女子プロレス界に覆いかぶさろうとしていることを感じさせるプロミネンスと駿河メイの参戦

女子プロレス界のトップであることに疑問の余地がないスターダムの勢いがすごい。両国国技館での二連戦を開催できる団体はこの団体だけだろうし、同じ月に両国国技館大会を行った東京女子プロレスの観客数を1日で超えていっており、二つの団体の差を感じさせる。

リング上でも女子プロレスの団体としては3番目の規模であるアイスリボンからの離脱組であるプロミネンスをジュリアが受け止める形で戦いが繰り広げられたり、東京女子プロレスにメイ・サン・ミッシェルとして分身が参戦していた駿河メイがランブルで優勝してタイトルマッチに臨むなどの名を挙げた選手たち、名を挙げたい選手たちが集まっていることを感じさせる。

選手の厚さが倍々ゲームで増していてどこかでひずみが起きるのではと思いつつもそれすらも面白さになりそうだなぁと思わせるスターダムの勢いはやっぱりすごい。