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常に中心に立っていると思っている人を危ういと思うのは私だけでしょうか 『片隅 Vol1』(伽鹿舎)【本】

 

沖縄の人たちに東京へ帰る時期の話をすると寂しそうな顔をする。影を落としたとまではいけないけど、どこかさみしさを感じてしまう。

去年の4月から断続的に出張で沖縄に来ています。それも今年の4月で終わりなんだけど、その話をすると現地で暮らしている人たちの表情がどこか曇る。

会えなくなる寂しさだけでない何かを感じるのはこの本を読んだからかもしれない。沖縄という日本の片隅で読んだからこの本に入り込んだのかもしれない。

九州のみの配本ということで日本の片隅でしか買うことができない心に残りそうなジャンル無特定の文芸誌。谷川俊太郎さんの誌ではじまり、宮尾節子さんの戦争を考える詩で終わる。

お笑い芸人である萩原正人さんが土方の生き様を描いた「ダメアナ」やボッティチェリのひとときの出会いを描いた磯崎愛さんの「時はめぐりぬ」、どこか冷めてしまって未来に期待がない中学生の不思議な出会いを描いた弍杏さんの「僕らは未来の手の中」、ラブホラーといったジャンルっぽい斜線堂悠李さんの「白糠セントバーナード」と何回も読み直したくなる物語がたくさん収録されている。

一応、東京の大きな企業で働き、23区に住んでいる私は中心にいるのかもしれない。でも、その会社の中では片隅にすぎない場所にいるようにも思える。世界の王でもない限り、人は中心にも立っているし、片隅にも立っている。

常に中心に立っていると思っている人を危ういと思うのは私だけでしょうか。

片隅があるから中心があるし、その逆もまた然りだろう。



【手に入れたきっかけ】

「本が好き!」というWEBサービスの献本キャンペーン!

【オススメ度】

★★★★★

書籍版『片隅』発刊! 10月23日、九州限定配本で登場! || WEB文藝誌 片隅-かたすみ- 伽鹿

http://m.kaji-ka.jp/editor/4604

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。