人が大人になり始めるのが中学校の3年間だったように今でも感じる。高校生やその後の人生によっても大きく変わることもあるが、そのスタートが中学生だった。今でも鮮明に覚えていることだったり、この時こうしてればよかったなあと思う事があるのもこの頃からではないだろうか。
自我が芽生え始めていく中でそれぞれがもがいているからこそ起こる出来事がある。スクールカーストという言葉に納めてしまっていいのかわからないが、自分の立ち位置を意識し始めるのもこのくらいの時だろう。
中学生の7人の子供達がなぜか昼間に”かがみの孤城”と呼ばれる場所に集められて宝探しをすることになる。平日の昼間に来ることができるという事実は普通の中学生であればありえない。そんな中で7人も集められた子供たちがかがみの孤城でそれぞれが関わりながら宝探しをしつつももうひとつの学校のような場所が生まれることになる。
主人公のこころさんは心の優しい女の子であり、同級生の女の子の嫉妬による行動と周囲の無理解によって学校に行くことができなくなってしまった。そんなこころも他の6人と同じように部屋にある鏡からお城に行って宝探しをしていくことになる。それぞれが学校に行けない・行かない理由を悩みながらも共有したり、テレビゲームをするなどの日常を過ごす中で7人の間で心が育まれていく。
中学生の荒削りの子供達が自分の気持ちを打ち明けながら変わっていくのは大人になって忘れてしまった自分の中学生時代とかぶる部分もある。自分に対しても他人に対しても素直に話すことができていた自分がいるとするならばなぜ今はできないのかまで思いを馳せることになる。
かがみの孤城は3月末までで閉まってしまうという期限付きの場所であるがゆえに終わりに向かって子供たちがそのあとどうするのか、宝探しの結末はどうなるのか、それぞれの子供達の関係性がなにかあるのかまで最後の1ページまでドキドキさせてくれるのがたまらない小説。
恋愛ではなく人が変わっていく青春を思い出しながらドキドキしたい人はぜひ読んでみてほしい。
【手に入れたきっかけ】
流行っていて気になったので
【オススメ度】
★★★★★
小檜山 歩
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