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【本】読みたい本が読める社会を守る図書隊の物語スタート! 『図書館戦争』(有川 浩)

 

正論は正しいのか。
武器の本を読み、人を殺すゲームをやっている人は本に出てくる武器で人を殺すのか。

【入手経路】

気が進まなかったけど、好きだと思うと勧められてブックオフで購入!

【概要と感想】

この作品にハマった。

なんか、派手に広まっていて多くの人に読まれているシリーズだし、
天邪鬼な自分は読むのをやめようかと思っていた図書館戦争。

とりあえず、勧められたし、最初だけだと思って読んだら、ガッチリハマって、
シリーズ全作勝って、映画もワクワクしながら見てしまった。

恋愛モノで作者は「月9・連ドラでGO!」をコンセプトに書いたのに。

本好きでメディア研究をしていて、組織対組織の物語が好きな自分にはたまらない。

近未来、本を検閲するメディア良化法が出来て、不適切だと判断された本は良化特務機関の取り締まりを受ける。
読みたい本が読めない時代。情報が制限されてしまった時代。

「こじき」という言葉が使われているだけで内容に関わらず、本が処分されてしまう時代。

検閲・処分に立ち向かうために図書館が組織したのが図書隊。
ここで奮闘する1年目の女性隊員・笹原郁の物語。

本が好きな人にとって、読みたい本が簡単に手に入る今が、どれだけかけがえの無いものなのかを再確認する。
読みたい本を読むことが出来る社会が損なわれるとすれば、そこに無関心な人々によるものが大きい。

読みたい本を読むことが出来る社会が損なわれそうになったら声を上げる準備はしておいたほうがいい。

このシリーズは4作に渡って続くけど、物語が進む中で人物の成長と共にそれぞれテーマが含まれているように読める。
第1作目の今作は「正論」と「メディアと現実」の問題が含まれている。

「正論」では、正論で人を論破することの意味。正論は本当に正しいのかということを考える。

そして、「メディアと現実」では、犯罪に関する本を読んだ読者は全て犯罪を犯すのかという問い。
「それでもボクはやってない」という映画でもあった。痴漢が入っているAVを見た人は痴漢を犯すのか。
銃マニアは銃を乱射するようになるのか。この問いをどう受け止めるのか。

この問題にすんなり読み手を巻き込める物語は素晴らしい。

【引用】

本には求める人の気持がいつでも寄せられている。そして著す人の気持ちも。(67)

お前ほど優秀な奴は稀だか、優秀な奴に特有の悪い癖もよく出てるようだな。自分のレベルに達しない奴を弾いてたらお前のそばに残るのは何人だ?(83)

正しかったら何言ってもいいわけじゃないよ(104)

正論は正しい。だが、正論を武器にする奴は正しくない。お前が使っているのはどっちだ?(117)

メディア作品が犯罪を助長するってんなら男は老いも若きも総性犯罪予備軍よ。AVにしろエロ本にしろ調教だの陵辱だの性犯罪願望のオンパレードじゃないの。メディア真似して犯罪が起こるってんならまず真っ先に女性に銃の携行許可が下りるべきだわ(142)

結局のところ何かのせいにして落ち着きたいのよね。こういうのって。犯人はあの本のせいで歪んだ。この映画に影響されて犯行に及んだって。理由付けして原因を取り除いたら子供を監督する側は安心できるって仕組みね。気持ちは分からないでもないけど。(142)

正論って面倒くさいのよ(244)

【本へのリンク】

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。