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樽にこだわる推理。手堅いミステリーの王道 『樽』(F・W・クロフツ)【本・ミステリー】

 

樽といえばドンキーコング。1989年生まれの私は連想する。樽の中には仲間が入っていたり、樽の中に入って飛んでいったりしながらステージをクリアするゲームに小学生の頃にハマっていた。

シリーズは好評で2作から3作ぐらいを続けてやったような気がする。そんなドンキーコングも驚きの事件がこちら。

樽の中には女性の死体。身元も分からなければ、どこから来たのかもはっきりしない。届け先へは謎の手紙だけが前もって届いていた。

まず、警察が樽を手元に置くまでにもひと悶着あり、やっと死体を見つけると、そこから調査へ。この樽はどこから来たのか。で、中に入っている死体の女性は誰なのか。そこから調査を進めていく。

物語の中で「あといくつ樽を探すことになるのだろうかと訝った」の台詞が出てくるように、読者が飽きてしまいそうになるほど、樽がつきまとってくる。実際、トリックも樽が鍵になっているので、仕方ないのだが、樽、たる、タル。樽を追い求める物語の果てに、古典的な謎解きが待っています。

足の探偵・フレンチ警部を生んだクロフツの処女作らしいのですが、「フレンチ警部」の物語を読んだことがないので、「クロフツさんがいい」とか語るのは出来ません。ただ、人気の古典ミステリーらしく、派手ではない手堅い王道ミステリーといえるでしょう。

トリックのミスもあるようなのですが、それを読みながら考えるのも面白いです。

とりあえず、「フレンチ警部」のミステリーを一作は読もうと思うとともに、もし、ドンキーコングが事件の樽に入ろうとしたらどんな反応をするのかを考えだすとニヤニヤが止まりません。

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。