この本で学んだ1つの大きなことは、「全ての人は合理的に行動している」ということ。
使い古された言い方かもしれませんが、目からうろこが落ちたというのはこういうことを言うのでしょう。この一文を読んだ時に本当に驚いたとともに、スッと頭の中に入ってきました。
なんで、この視点がなかったんだろうと、悔しささえ出てきました。ある程度は合理的に判断していると思って生きているからこそ、他の人の行動について、なんでそんな行動をとるのかと疑問に持ち、イライラしてしまうことが結構ありました。
でも、この本のこの一文を読み、読み進めていくことで、人にはそれぞれの人なりの合理性があって、その合理性を元に生きているということに納得でした。そして、合理性の違いをどう活かしていくのかも書いてあり、なるほどと思わせてくれました。
「現実に存在しているものには何らかの合理性がある」。だからこそ、「その行動をやめたいのであれば、誰が何の目的でその行為をしているのかを考える必要がある」とのこと。
これは肝に銘じておいても損がないことでしょう。
若手経済学者として有名な飯田泰之さんの新書で、物事を考える際の道具として経済学を紹介した上で、様々な「型」を紹介しています。「全ての人は合理的に行動している」というのも、「型」の1つで、それ以外にも様々な思考の型を紹介してくれています。
何かを考える際の道具がほしい方にとってはおススメの一冊です。飯田さんの他の本も読みたくなっています。
【引用】
初めから「誤り」であることを示すことができない仮説には意味はありません。
主観価値説に従って考えるということは、自分以外の人も(当人にとっての)主観的な価値に基づいて合理的に行動していることも認めるということにほかなりません。
自己啓発本と総称されるビジネス書では、多くの場合、価値観そのものの転換が語られます。しかし、私たちの価値観は人からどうこう言われて変わるような、もろいものなのでしょうか?このような価値に踏み込むのは宗教家の役割であって、少なくとも私の能力と知識を超えているように感じられてなりません。
努力には2つの方向性があります。1つは効率努力、もう1つは関係努力と言ってもよいでしょう。効率努力とは、営業先をたくさん回ることや、大量の仕事を短時間でこなしたり、新しい技術を学んで開発や生産管理に生かしたりするといった努力のことです。一方、上司に気に入られることや、同僚に嫌われないように気を配るといった努力を関係努力。
自分の努力が高く評価され、熾烈な競争に巻き込まれないようなポジションを探す。
このような戦略はともすると敗北主義だと非難されがちです。しかし、私たちのほとんどが天才ではない以上、頭のどこかにおいておかなければならない生存戦略なのです。
【手に入れたきっかけ】
Kindleセールをしていて、いつか飯田さんの本を読みたいと思い、購入。
小檜山 歩
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