総合職共働き人事コンサルのブログ

こんな会社が作れたら理想。関わる全ての人が幸せになる会社に 『世界でいちばん大切にしたい会社』(John Mackey)【Kindle・本】

 

「理想の会社とはどんな会社なのか?」

この問いに答えようとする1冊。その答えは理想的で実際に実現している会社もあるだろうけど、険しい道のり。でも、達成することが出来ればその会社に関わる全ての人が幸せになれる。

正しい資本主義の形に!

コンシャスカンパニーとは「自社の顧客または自社の社員のいずれかを最も重要なステークホルダーとみなしており、最重要でなかったほうを二番目に置いている」会社であり、それを実現するために絶え間なく努力をしている会社のこと。

今の資本主義は本当の資本主義の形ではなく、誤った資本主義の形であると述べられた上で、「自由競争資本主義は、すべてのステークホルダーに価値を生み出すという、道徳的な仕組みに根ざしていなければならない」とする。

つまり、資本家・経営陣のために会社を運営するだけではなく、社員・お客様を含めた全ての関係者に価値を生み出す会社がコンシャスカンパニーであり、そのような会社に大きな価値があるとしている。

こんな会社が作れたら理想。ただ、全ての会社が出来るとは思えない…

コンシャスカンパニーの従業員には「従業員一人一人が自ら管理し、自らを動機づけし、自ら組織化し、そして自ら問題点を直す」ことが求められる。

ただ、言われたことをやり、それなりに働いていればいいわけじゃない。Googleなどのイケてる企業では実践されていることなのかもしれないけと、一般の事業会社にいる全ての従業員に求めることは難しいのが現状だと感じてしまう。

会社全体ではなく、身の回りから少しずついい会社にするヒントに

確かに全ての従業員に浸透させることは難しいかもしれない。でも、自分の身の回りから仕事を仕事としてやるのではなく、いい経験として取り組む人、自分の転職として取り組む人を増やすことが出来れば会社は変わっていく。

この1節が心に刺さる。

労働とは、日々のパンを稼ぐだけでなく生きる意味を探し、現金だけでなく他人からの評価を、無気力よりも驚きを求める探索のことだ。要するに、月曜日から金曜日まで働いてクタクタになるものなのではなく、生きるための手段

「男性的」な価値観に「女性的」な価値観を加えていかないと!

あるパートで紹介されていた「女性的な価値観の高まり」がこれからの企業を考える上で大切なこと。企業は今まで支配してきた「男性的」な特質に加えて、「女性的」な特質を加える事が必要。リーダーに女性を登用するとかではなく、配慮や思いやり、協力を企業の現場になじませることが必要。

男性であっても女性であっても力で企業を運営する時代は終わりを迎えたことを認めよう。

【メモ】

労働とは、日々のパンを稼ぐだけでなく生きる意味を探し、現金だけでなく他人からの評価を、無気力よりも驚きを求める探索のことだ。要するに、月曜日から金曜日まで働いてクタクタになるものなのではなく、生きるための手段

大半のコンシャス・カンパニーは、自社の顧客または自社の社員のいずれかを最も重要なステークホルダーとみなしており、最重要でなかったほうをまず間違いなく二番目に置いている

仕事にはジョブ、キャリア、コーリングという三つの階層がある

数千年にわたって、人間社会とほとんどの社会制度は、攻撃、野心、競争、左脳支配など、主に「男性的に」運営されてきた。こうした特質は政治の世界にもビジネスの世界にもはっきりと見て取れ、実際のところ、成功するリーダーの資質として求められてきたのである。  しかし今では、配慮や思いやり、協力、右脳的な特質といった「女性的な」価値観が大きく注目され、私たちの仕事や生活の中にこうした人間的価値が認められる環境が整ってきたように思われる。コンシャス・カンパニーは、リーダーが男性であっても女性であっても、両性の特質を具現化した存在であることは間違いない

【手に入れたきっかけ】

Kindleキャンペーン!

【オススメ度】

★★★★★

【キーワード】

最も残念なのは、だれもかれもが短期的な利益を追うという風潮が強くなった結果として、ゼネラルモーターズやシアーズといった多くの名門企業が倒産に追い込まれ、エンロンやワールドコム、Kマート、コダック、そして一〇〇社を超える大企業が、会計操作を理由に二〇〇三~〇四年の分の財務諸表の訂正を命じられ、破綻した

営利企業の目的は私たちの生活を向上させ、ステークホルダーにとっての価値を創り出すこと

自由競争資本主義は、よく描かれるような必要悪などでは決してなく、人間の知恵と努力を引き出し、向上させ、拡大し、他の人々のために価値を生み出す驚くほど強力なシステムだ。これが守られなければならないのは、単に利益を生み出すからではなく、そもそも基本的な道徳が備わっているからだ。自由競争資本主義は、すべてのステークホルダーに価値を生み出すという、道徳的な仕組みに根ざしていなければならない

従業員を大事にし、一度勤めたらほとんどだれも辞めることのない企業。人々の肩越しにきちんと仕事をしているか監視する人間を必要としない、管理職の少ない企業。進化を続ける生物のように、従業員一人一人が自ら管理し、自らを動機づけし、自ら組織化し、そして自ら問題点を直すような企業

コンシャス・キャピタリズムとは、あらゆるステークホルダーにとっての幸福と、金銭、知性、物質、環境、社会、文化、情緒、道徳、あるいは精神的な意味でのあらゆる種類の価値を同時に創り出すような、進化を続けるビジネスパラダイムのこと

素晴らしい業績を上げながら、自社の存在目的に向けて歩を進める─―この二つを成し遂げなければならない

コンシャス・カンパニーが正しいことを行うのは、それを正しいと信じているからだ

ホールフーズのコアバリューはビジネスの目的を簡潔に表現している。存在目的には利益を上げることだけでなく、主な関係者全員のために価値を生み出すことも含まれている。会社はいつも自分たちのコアバリューについて語り、コアバリューに基づいて行動する

金融業界は、社会を良くしようといった高潔な目標(存在目的)を掲げさえすれば、ステークホルダーすべての創造性や協力、勤勉さ、忠実性、情熱を高められるはずだが、自らの主な、いや唯一と言ってさえよい目的が金を稼ぐことという発想を受け入れてしまい、その偉大な力をむざむざ犠牲にしている

存在目的を最も重視する会社にとっては、地位や職務にかかわらず自社の目的と強く調和する人々を雇うことが極めて重要だ。もし会社の目的を「くだらない」とか「自分には関係ない」と考える人を雇ってしまうと、存在目的と調和しないどころか、逆の行動に走ってしまうだろう。だが組織が力強い存在目的を持ち、それを明確に何度も訴えれば、それに合致する社員を自然と引きつけられるようになるはず

コンシャス・カンパニーが最後に勝利を収めるのは、イノベーションと協力、協調のレベルが他社よりも高いからだ。そして、最終的に、市場は十分にコンシャスではない企業を駆逐していくはず

 

 

 

 

The following two tabs change content below.

小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。