結婚した人が読むよりも、結婚する前の20代後半~30代前半の人が読むといいかも。
勢いで結婚する人が多かれ少なかれいる20代前半を超えると、仕事をしつつ、結婚について考えるようになる。それは20代前半の結婚よりも踏ん切りがつきにくくなるのかもしれない。
結婚について考えるときに仕事とお金のことが露骨に出てくるからこそ、何かしらのきっかけと何かしらの議論がないと結婚に進みづらい。
「なんとかなる」が効きにくくなり、いろんなことを考えた上でないと結婚できないのが20代前半から30代後半なのかもしれない。
婚約中・披露宴前のカップルを描いた「結婚問題」と特にはっきりとした理由もないのに離婚した1組の夫婦の後日談を女性の視点から描く「葉子の離婚」の二本立て。長さからもメインは「結婚問題」の方だと思うので、こちらのあらすじをご紹介。
元ベストセラー作家で貯金を切り崩している祐人と本の編集者でサバサバ系な里奈はとある日の祐人からのプロポーズで婚約する。ただ、結婚が近づいてくるに連れて、里奈は不安になる。祐人の性格や収入など、本当に2人で結婚生活が遅れるのか。「この人で良かったのか」と。祐人は自分の不安定な収入を周りの人に指摘され、男として結婚することの厳しさを目の当たりにする。
そんな二人は無事に結婚式を挙げることが出来るのか。2人の心の揺れ動きを結婚を間近に控えた時の周りの反応と共に描く。
25才でそろそろ結婚を考え始めた自分には結構刺さった一冊。結婚に夢を見ない。運命の人なんて憧れなくなった頃に目の前にはっきりと現れた結婚を描く。
【書き出し】
校了日がなかったらどんなに楽になるだろうといつも思う。(「結婚問題」)
「結婚生活ってさ、結局ただの日常だよね」(「葉子の離婚})
【キーワード】
結婚問題
葉子の離婚
婚約
里奈・編集者
祐人・元ベストセラー
メリット
婚約中
披露宴
言葉に ならない憂鬱さ
セックスレス
【引用】
「すげー好きになったりとかさ、大事やなって思う人ができたりするとそうならへん?一人やったはずの自分の世界にもう一人の人が入ってきて、どうあがいても無視できひんくなる。そういうのって素敵なことやと思うのよな。身軽ではなくなってしまうけど、その分得るものも大きいっていうか」
結婚は男を丸裸にするとは思っていたが、された結果がここまで辛辣なものだとは正直思っていなかった。
自分の存在を根本的に認めてもらえること。ひょっとしたらそれが欲しくて、人は結婚したいと思うのかもしれない。
【手に入れたきっかけ】
「本が好き!」というサイトの献本サービス
【オススメ度】
★★★★☆
小檜山 歩
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