気持ち悪いというか怖いというか。でも、それを完全に晴らすような動きはもっと怖い。それだけ世界は難しい。
右でも左でもないけどリベラルだと思ってる
自分のことはリベラルだと思うんだけど、右でも左でもないと思ってる。自分の中でリベラルって「いろんな意見に寛容であること」だと思ってるんだけど、それはまたどこかで書きましょう。
なんでこんなことを書いたかというと、Twitterを読んでいるとなんとも言えないモヤモヤと言うか悲しい気持ちになることが多いから。”ネトウヨさん”たちのツイートはなんだかなぁと思うときがたくさんある。「他人の意見に寛容なリベラル」だと勝手に思っていたので見えないようにはしないようにしてたんだけど、Facebookで”パヨク”とか”コニタン”とか書いているのが目に入るのが嫌でその人の投稿を見えないようにしたこともある。
でも、”ネトサヨさん”というか”安倍晋三嫌い”のツイートもそんなに好きじゃない。なんだろう。我慢できないんだろうし、安倍さんのことを好きじゃないけど、そんな言い方しても仕方ないというか、感情的というか人を傷つけようとしているようで嫌だったりするんです。あまちゃんだなぁと言われそうだけど、そんなことを思う。
この本を読み終わったときにはそれでいいんじゃないかなぁと少し思えたかな。
日本で起こり得るジョージ・オーウェルの1984年の世界
監視社会を描いた小説として有名なジョージ・オーウェルの『1984年』のような世界は幸いなことに日本ではやってきていない。でも、こんな世界ならありえてしまうんじゃないかなと思う伊坂幸太郎が描く監視社会がここにある。
90%は当たる嘘発見器を使って犯人を探すとして残りの10%は冤罪になる。1万人の犯罪者がいたら100人は犯人じゃないのに罰されることもある。だからこそ嘘発見器の精度をあげないといけないというか嘘発見器を使っていのかを考えないといけない。嘘発見器の役割を人に任せたらどうなるのか。
輪番で回ってくる特定地域だけ密告による通報を許して”要注意人物”をあぶり出そうとする社会。そこで”要注意人物”として通報された人は拷問を含めた行為によって犯人となり公開処刑される。拷問をする人たちはそれが正しいと思ってやっている。真面目だから怖い。”一般の善良な市民”でも拷問をして公開処刑を見に行く現実が描かれる。
そんな世界に現れたヒーローとその顛末が描かれる。拷問をしたり密告ばっかりしたりしている人のほうが悪だと考えられるかもだけど、そんな簡単じゃない現実が触れられる。
日本を出る?火星に住む?
タイトルにもなっている”火星に住む”は日本を捨てて進む先としてありえる選択肢として提示される。そんな怖い日本を出ることもできるけど、そうも簡単にいかない個人の背景がある。仕事場の同僚の中には住むところにこだわっていない人もいて、火星には行かないにしても他の国で住める人もいる。
私もその要素はあるのかもしれないけど、日本をずっと離れる選択肢を選ぶかといえば難しい。一方に傾くことの多い日本の中でどうするのか。誰かを悪者として扱う選択肢を捨てることの良さを感じさせてくれる。”ぼくのりりっくのぼうよみ”があとがきを書いているんだけど、それもよかったなぁと。
似たような世界観を歌っているらしい『Noah’s Ark』というアルバムがあるらしく気になっている。
【次の本】
『すばらしい新世界』(オルダス ハクスリー)
あとがきで『1984年』と並ぶディストピア小説として紹介されていた本
【手に入れたきっかけ】
伊坂幸太郎が最近のお気に入りでパートナーが持っていたので
【オススメ度】
★★★★☆
小檜山 歩
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