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証拠を見つけるために自らの足を使って勝負する。そんな姿に懐かしさを感じる 『福家警部補の挨拶』(大倉 崇裕)【Kindle・本】

 

何だか現代なのに懐かしい匂いがするミステリー。最初に犯人が事件を起こすところから描く倒叙モノ、またの名を古畑任三郎システムのミステリーだということだけじゃない。何だか、主人公にも犯人にも風情がある。厳しい人は特徴が少ないとか言いそうだけど、ミステリーの王道としていいんじゃないかと思う。それもそのはず、著者は探偵コロンボシリーズのファンらしく、影響を受けているとのこと。

見た目は決して捜査一課の刑事に見えない福家警部補。小柄で女性でフチなしメガネ。散らかっているカバンのせいですぐに警察手帳を取り出せない。そのせいで、事件現場では毎回現場に入るかどうかで揉める。でも、ウデはピカイチ、1度会った人の顔を忘れない。観察力と推理力は天下一品。それぞれのやむ負えない事情で人を殺した犯人を追い詰める。

閃きで勝負するのではなく、確かな証拠を見つけるまでは決して勝負せず、証拠を見つけるために自らの足を使って勝負する。そんな姿に懐かしさを感じるのだろう。

4つの事件が収められてますが、オススメはオッカムの剃刀。物事を捉える時に役立つ考え方がそのまま題名に。

懐かしさ漂う、読みやすい現代の推理小説を探している人にはオススメの一冊。

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。