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フィールズ賞辞退から物語は始まる 『NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影』(春日 真人)【Kindle・本】

 

ポワンカレ予想とペレルマン。この2つの言葉を断片的であっても聞いたことのある人は多いでしょう。宇宙の形を解明するヒントになり得る「ポワンカレ予想」とその難問を解き明かしたペレルマン。

名前は知っていてもその「ポワンカレ予想」とはどんなものなのか、そして、その難問を解き明かしたペレルマンとはどのような人なのか。その問いへ迫ったNHKスペシャルが書籍化されている。内容は数学的というよりはまるで物語のよう。

フィールズ賞辞退から物語は始まる

数学者の名誉と呼ばれ、44人の数学者にしか授与されていないフィールズ賞を唯一辞退した数学者であるペレルマン。数学者にとって大きな問いだったポワンカレ予想を解き明かす試みを成し遂げる過程でも、成し遂げた後も数学界には属さなかったペレルマンとはどんな人なのか、その前に、ペレルマンを掻き立てたポワンカレ予想とはどのようなものなのか。

まずは、そこから話が始まる。

ポワンカレ予想は宇宙を解き明かす

ポワンカレ予想とはこんな表現で表されるらしい

「単連結な三次元閉多様体は、三次元球面と同相と言えるか」

で、これがどう宇宙とつながるのか。本の中で出来るだけ丁寧に説明が尽くされていく。動画での説明がないのが残念だが、なんとなくわかったぐらいの気にはさせてくれる。

まずはそれでいいでしょう。

数学者たちの生身あふれる物語

ポワンカレ予想がなんとなくわかってからはポワンカレ予想を解き明かそうとした数学者たちの物語へと進む。そこには様々なバックグラウンドを持ち、様々なキャラクターの数学者が並び、最後にペレルマンに行きつく。

そこにあるのは純粋に数学に取り組み続けた人達の姿で、その姿になんだかワクワクさせられる。日常に急かされる中、数学の物語に身を投じてみてはいかがでしょうか?

【手に入れたきっかけ】

Kindleキャンペーン!

【オススメ度】

★★★★☆

【キーワード】

「ペレリマンは人付き合いはうまくないかもしれません。お世辞にも気さくな性格とは言えません。しかしその代わりにたぐい稀な、人並み以上の誠実さがあります。完全なまでの誠実さです。数学とは、厳格な規律の積み重ねで成り立っている学問です。一面において、それは数学者をそっけないものにさせ、あたかも感情に乏しい人間のように見せることがあるのです」

ポワンカレ予想とは?:「誰かが長いロープを持って宇宙一周旅行に出かけたと想像してみてください。その人物が旅を終え、地球に無事戻ってきたとしましょう。そのとき、宇宙にグルリと巡らせたロープは、こんなふうに、いつも必ず自分の手もとに回収できるでしょうか」  ポエナル博士はいったん広げたロープを引っ張って、手もとにたぐり寄せた。 「もしロープが必ず回収できるならば、宇宙は丸いと言えるはずだ。これが、今日『ポアンカレ予想』と呼ばれているものなのです」

「どうです? ポアンカレは、細かい形の違いを気にせず、穴の数が同じならば同じ形とみなそう……と提唱したのです。トポロジーでは、穴の数が大切なんです」

スメール博士の言う『数学的に見る』レベルに到達するには、「数学語」の力を相当磨かなければならないようだった。

「内容、撮れてるかな?」「うーん、たぶん」  だが、数学者の方たちのポアンカレ予想に賭ける情熱と、数学自体の不思議な魅力が、困難な取材を前進させてくれた

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。