普通の人は人を殺さないというロジックは成り立たない～森達也「Ａ３」から思った事　Part10～

小檜山歩

14年前

それでは、オウムについて、第10弾。意味が分からない人は「電車の中で書きなぐった文」
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-359.htmlまで。
この本の一番のテーマは「誰が（オウムの事件を起こして）人を殺したのか？」という問いを考えることだと解釈した。今回も含めて、あと3回はこの事について書きたい。
筆者は

P429　邪悪で凶暴な人ばかりが人を殺すわけではない。無邪気で善良で純粋だからこそ、人は人を殺す場合がある。しかもこの場合は、後ろめたさという摩擦が働かない。だからより多くの人を殺す。

と書いている。無邪気、善良で純粋な人が他の人を殺す可能性に関しては、ナチスのヒトラーが選挙で選ばれたことだけではなく、ルワンダにおいて一般市民が隣人をナタで殺していたことや、関東大震災の時に中国人や朝鮮人が日本人のリンチによって殺された例、ユーゴ分裂の際の虐殺の数々など、枚挙にいとまがない。
つまり、普通の人は人を殺さないというロジックは成り立たないのである。その中で、オウムの事件はおかしな人たちが事件を起こした。とみなされる。振り返られない。

今回の震災で阪神大震災のことが振り返られ、毎年、阪神大震災が起こった日には、そのことがニュースでも取り上げられる。でも、オウムの事件は完全に忘れ去られる。もしくは、たまにオウム信者の話が出た時には、おかしな人たちとして処理されていく。でも、本当にそれでいいのか。オウムの事件を起こしたのはオウムに関わった「おかしな」人だけだったのか。ということを考える必要がある。その問題を取り上げる時に大切なポイントである（ように書かれている）水俣病について、次回、扱う。それに絡めて、「誰が地下鉄にサリンをまいたのか？」ということを考えていきたい。それをまとめにする。
さて、この本についてもあと2回。頑張ろう。大切な本だと思うから。そして、今日はこれから寝て、朝、6時おきで就職活動。2社の筆記試験。合計7時間ぐらいペーパーテスト。大学受験以来。頑張ろう！
今のところの予定は全部で12回
1. 電車の中で書きなぐった文
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-359.html
2. 麻原のＡ―麻原彰晃
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-363.html
3. ふりかえりの必要性
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-368.html
4. 制度は勝手に変わる。それっていいの？
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-377.html
5. 殺してしまう。でも。
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-382.html
6. オウムの中は？
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-category-36.html
7. オウムに関するジャーナリズムについて江川紹子さんを通じて考える
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-412.html
8. 人前で自慰する人は普通？
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-433.html
9. 社会は・・・
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-469.html
10. どういう人が殺すのか
11. 水俣病
12. 森達也が言いたかったのではないか。ということ