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日本人の世論調査を絶対視する傾向~西平 重喜著「世論をさがし求めて―陶片追放から選挙予測まで」を読んで Part2~

P77「(世論調査の)フィールド・ワークの大部分は、各新聞社などの機関が直接行う。そして日本では各メディアは公正中立を標榜している。国民の方も先進諸国のうちで、マス・メディアを信頼するものが信頼しない者より多いのは、日本人だけである(ただし例外としてオランダで1回ある)」
まあ、そうだと思う。社会を見てるとそう思う。でも、なんでだろう。日本のメディアが素晴らしいのではなく、やっぱり異常な状態であるのではないかな。もっと疑うべきではないのか。
そして、日本人と世論調査
P189~190(適宜省略しています)

1、日本では教育が普及しているので、統計資料の収集が容易
2、日本人は「みんな」と同じようにしたいと考える傾向がある。世論調査のデータはこれらの期待に応えるものである
3、日本の政治家やエリートには、自らの思考により提案をして民衆をリードしていくタイプは少なく、またそのような人々は一般に批難される。彼らの多くは民衆の望みを察知して、それを具体化しようと考える。そしてまた評判が気になる。したがって世論調査は欠かせない道具である。
4、はっきりいうことは失礼。生意気なことであった。したがって質問に率直に答えようとしない傾向が残っている
5、日本語は疑問文にYes-Noで答える
6、上から教え育てる日本の教育では、社会的規範を教え込むことであり、自分で考える事を教えてはいない。そうすると日本の世論調査は(教え込まれた)「正解」の浸透度を調べている事になる


6つの点については筆者の分析によるもので、何かの統計資料などがない事が少し残念だけど、6つ目のある程度のリアルさと怖さを強く感じた。
いろんなポイントを読んで思った事。それは、日本の色々な要因によって世論調査の結果が1つの意見に集中し、多様な意見という振れ幅を狭くしている可能性がある。他の点も含めて、大多数の意見になびいてしまうことがある。
1. 世論調査とは?(筆者が考える)と世論調査と世論は・・?
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-386.html
で書いたように「世論調査≠世論」であり、上の④・⑤・⑥を要因として「国民が本当に思っている事≠世論調査」となる可能性があるのにも関わらず、世論調査自体が大きな力を持ってしまう。
世論調査は質問の仕方で大きく結果が変わる上、世論調査を多く行う事は少数派の切り崩しになってしまう。世論調査という制度の信頼とはうらはらに制度自体の欠陥、制度が引き起こす、自然状態では起こらない影響がある事を知っておかなければならないなのに、日本人は世論を絶対視する傾向にあり、国会でまで、世論について長い時間を取って議論を行う。これは、よろしくないのではないか。
この点を知って、世論調査の結果を見る必要がある。とこひやまは思った。
1. 世論調査とは?(筆者が考える)と世論調査と世論は・・?
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-386.html
2. 日本人はマスメディアを強く信頼する・日本人と世論調査
3. 予測報道の影響
4. 自前調査のメリット
5. ブルデューの公準
西平 重喜「世論をさがし求めて―陶片追放から選挙予測まで」
http://www.amazon.co.jp/dp/4623055930%3FSubscriptionId%3D1A22VQWBAGYA06XAJFR2%26tag%3Dmdmk-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4623055930

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。