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学んでいる全ての人が意識しないといけないことだし、それを全ての人が失った瞬間、人間の価値はなくなること。『世界を知る力』

日本の知識人の一人である筆者がどうやって世界をとらえるのか。ということについて、多角的に述べている。終戦後の日本人はアメリカを通してしか、世界を見ていない。ということを指摘した上で、固定観念からの脱却、ネットワークで考える、今の自分たち、そして、「知」について。
それぞれの章において、書かれている様々なエピソードは豆知識として役立ちそうであるだけではなく、物事の違った捉え方を開いてくれるもので、ペリー来航以前のロシアとの関係についてや、抗議と狭義の「チャイナ」、「バーチャル国家」についての記述はそれにふさわしいし、当時の鳩山由紀夫総理についてはなつかしいながらも、もっと粘ってくれても良かったかな。なんて思ったりもする。そして、「知」についての言葉は素晴らしい。これだけで、☆5つの価値があると感じた。

P197 わたしたちは、「世界を知る」という言葉を耳にすると、とかく「教養を高めて世界を見渡す」といった理解に走りがちである。しかし、そのような態度で身についけ教養など何も役に立ちはしない。世界を知れば知るほど、世界が不条理に満ちていることが見えてくるはずだ。その不条理に対する怒り、問題意識が、戦慄するがごとく胸に込み上げてくるようでなければ、人間としての知とは呼べない。たんなる知識はコンピュータにでも詰め込んでおけばいい。

学んでいる全ての人が意識しないといけないことだし、それを全ての人が失った瞬間、人間の価値はなくなる。そんなことを思った。最近、評価が甘い気もするけど、この言葉に☆5つ。

寺島 実郎
PHP研究所 ( 2009-12-16 )
ISBN: 9784569774787

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。