総合職共働き人事コンサルのブログ

国際基督教大学(ICU)でミスコンを行うことについて国際基督教大学4年生が考えるの続き。反対している側の声明を読んで。

前回は運営側の記事について色々書いた。
「国際基督教大学(ICU)でミスコンを行うことについて国際基督教大学4年生が考えるの続き。運営している側の話を読んで。」http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-635.html
今回は反対派の記事に対して色々書きたい。反対派の話はインタビューという形ではなくて、「国際基督教大学(ICU)におけるミスコン開催に反対する共同声明」を全文掲載することを行っている。ネット上でも公開され注意書きなどがないので全文転載する。

「国際基督教大学(ICU)におけるミスコン開催に反対する共同声明」
私たちは、国際基督教大学(ICU)に関わる様々な市民です。学生、常勤・非常勤の教員や職員、卒業生、近所の住民、出入り業者など、様々な立場でICUに関わり、関心をもっています。このたび、ICUでのミスコン開催が予定されていると聞きおよび、大きな危機感を抱いています。
ICUにおいてミスコンが開催されてこなかったことが「旧き時代が築いたあらゆる壁」の一つであり、ミスコンを今開催することがICUに「新たな風を吹き込」むことだと、今回のミスコン企画を主催する団体は述べていますが、果たしてそうでしょうか。
2008年のミスコン企画の際のCGSとICU祭実行委員会の対話など、今までミスコンを開催してこなかったことは、ICUに関わる人たちのオープンな対話によって築かれてきた伝統でもあります。そして、様々な大学がミスコンを行っている中では、ミスコンを行わないことこそがICUの「伝統」でもあり、かつ「新しい風」を吹き込んできた側面だともいえるのではないでしょうか。それは悪いものを壊し、革新をもたらす伝統です。そして、それは人々の多様性や尊厳を尊重する伝統でもあります。
ICUに入学する際に全学生が署名した「世界人権宣言」を思いだしてください。
すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。
すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
ここには、すべての人がその被害から自由であるべき差別の事由として「性」が含まれています。また、「その他の地位又はこれに類するいかなる事由」は、「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認する」という前文の精神を現代社会に適用すれば、当然ながら年齢や美醜も含んでいると想像すべきです。さらに、この「宣言」は、人々の多様性の称揚のためにあると言ってもいいでしょう。
ミスコンは、女性の価値を外見や振る舞いに見出すような性差別的な社会背景から成立したものであり、事実、歴史的にそのような文脈で機能し続けてきました。電車に乗れば女性を性的対象化する広告が溢れているなど、私たちの日常生活において、性差別はまだまだ端々に存在しています。今回のイベントが「ミスコン」という名称で呼ばれているということは、たとえ女性限定などの文言がなくとも、「(未婚)女性」を、外部の視点でみた「美」という観点から評価をするといういわゆる通常の「ミスコン」の規範に従ったものであろうことが想定されます。また、「女性」に対してのみならず、セクシャルマイノリティや障害者、エスニックマイノリティなど、様々なマイノリティに対して差別的な要素をもち、人々の多様性を否定するという側面がミスコンにあることは、フェミニズムやクィア研究/運動をはじめとした、様々な学問および市民運動が明らかにしてきたことでもあります。ミスコンとは、そうした差別を白昼堂々と実践することにより、日常生活の不正義を追認するための儀式です。
ICUのミッションは、全学生が署名した「世界人権宣言」の原則のもとに、人権という概念に基づき、「しっかりとした「個』を持ち、真のリーダーシップを発揮し、世界の問題を解決してゆく人材を輩出」(鈴木学長のICUホームページ掲載の声明文)することであったはずです。
他の大学でも行われているから、という理由でICUにもミスコンがあるべきであると主張することは、「しっかりとした『個』をもつ真のリーダーシップを発揮し、世界の問題を解決」というICUのミッションとは異なるものだけではなく、ICUの構成員の間に存在している多様性とそれを尊重してきた伝統を無視するものです。そして、そのために新たな人権侵害などの問題をひきおこすのではないかと危惧しています。
「国際基督教大学人権侵害防止対策基本方針」には、以下のようにあります。
ICUは世界人権宣言を重んじる大学として、人権侵害のない教育・研究・就労環境を整え、構成員が安心して過ごせるキャンパスを確保する責任があると考えています。ゆえに、性、人種、宗教、年齢、性的指向、障がいなどに基づく差別や、地位・立場を利用したあらゆるハラスメントは形態の如何に関わらず許されません。本学の構成員はみな献学の精神である国際性やキリスト教精神を十分理解し、快適なキャンパスをともに作っていくことが要請されます。
このとおり、ICUのすべての構成員には、あらゆる形態の差別・ハラスメントが無い、快適なキャンパスをつくることが要請されています。ミスコンを企画している学生たちも例外ではありません。
また、従来の「ミスコン」とは違うかたちのミスコンをICUでやることが、「よりまし」な性的対象化のモデルを創造することになるのではないか、という意見もあるかもしれません。しかし「よりまし」な差別、「よりまし」なハラスメントを行うことが人権という概念に基づいた「真のリーダーシップ」であるとは到底思えませんし、「人権侵害防止対策基本方針」と真っ向から対立する行為であると考えます。
さらに私たちは、人生の数年間を「世間よりはましな環境」に保護されることだけに満足しません。ICUの使命の一つには「国際性」も掲げられていますが、そこでは多様な人々のあり方を尊重し、さまざまな人々が差別をうけることなく生きられる世界の構築も重要なテーマであることでしょう。
だから、様々な形でICUに関係する私たちは今回のミスコン開催予定について、次のように表明します。
• 私たちは、人種的、身体的、階級的に画一的な女性の美のイメージの強化をもたらし、女性の性的対象化の道具として機能してきた歴史をもつミスコンに、そもそも反対します。
• ですから私たちは、ICUの外においても、差別的な電車の釣り広告やミスコンに反対します。
• 基本的な人権、および多様な人間のあり方が尊重される社会をめざす私たちは、当然ICUでのミスコン開催にも反対します。
• また、私たちにとって、ICUは社会から独立した象牙の塔ではありません。ICUもまた社会の中に位置づけられた存在です。私たちがミスコンに反対するのは、キャンパスを特権的空間として保全するためではありません。
以上の理由により、キャンパスミスコン開催に反対します。
2011年6月8日

ICUのミスコン企画に反対する会
https://sites.google.com/site/missconhantai/statement_jpより
正直、賛成派の話よりも首を傾げる角度が大きくなり、回数も増える。この疑問や自分の意見を三つに分けて書かせてもらう。
①、オープンな対話
2008年のミスコン企画の際のCGSとICU祭実行委員会の対話など、今までミスコンを開催してこなかったことは、ICUに関わる人たちのオープンな対話によって築かれてきた伝統でもあります。そして、様々な大学がミスコンを行っている中では、ミスコンを行わないことこそがICUの「伝統」でもあり、かつ「新しい風」を吹き込んできた側面だともいえるのではないでしょうか。それは悪いものを壊し、革新をもたらす伝統です。そして、それは人々の多様性や尊厳を尊重する伝統でもあります。
2008年にCGSとICU祭実行委員会という6人のみで行なわれた話のどこが、オープンなのか。クローズドではないのか。もし、それがHPで公開されていたとしてもだ。オープンな対話とは第三者も交えて、公開で語り合うことではないのか。
そして、ミスコンを行ってこなかったことが伝統なのか。少なくとも、今、四年の自分はそうは思わない。ただ、やりたい人がいなかった、それはジェンダーの観点からではなく、めんどいからとか、消極的な行為であり、それを「「伝統」でもあり、かつ「新しい風」を吹き込んできた」などと言えるとは考えない。その消極的な行為に対して疑問を呈したミスコン開催提起には一定の価値がある。
② 今まで言ってこなかったでしょ・・?
• 私たちは、人種的、身体的、階級的に画一的な女性の美のイメージの強化をもたらし、女性の性的対象化の道具として機能してきた歴史をもつミスコンに、そもそも反対します。
• ですから私たちは、ICUの外においても、差別的な電車の釣り広告やミスコンに反対します。
• 基本的な人権、および多様な人間のあり方が尊重される社会をめざす私たちは、当然ICUでのミスコン開催にも反対します。
• また、私たちにとって、ICUは社会から独立した象牙の塔ではありません。ICUもまた社会の中に位置づけられた存在です。私たちがミスコンに反対するのは、キャンパスを特権的空間として保全するためではありません。
と書いてある。でも、今まで外のミスコンにこのような表明などを用いて反対してきたのか。今年もICUのミスコンに対してのみしかメッセージを送っていない現状ではないのか。それは、ICUというキャンパスのみにしか関心を持たず、それこそ、「キャンパスを特権的空間として保全する」ことであり、ICUだけを「象牙の塔」とみなし、そのための行動であるとしか思えない。
③ 対話の必要性
これを一番感じる。相手の断片的な情報のみでとりあえず、署名を集めてみようとしたように見えてしまう。2つの主張と単純化したくない。いろいろな立ち位置があるだろうから。でも、おおっぴらに語っているこの2つの主体がオープンな議論を大勢の前ですることを行って欲しい。
HPを確認したところ、メールのやり取りをしているようで対話の機会を設けるようだ。7月中らしいけどICUは夏休み・・それで確定してしまわないことを願う。学期が始まってから大勢の前で議論して欲しい。それが、この問題を考える際に大切な事だと思う。
そのために何か行動したい。何なんのかは未だ手探りだし、就活が落ち着いたらの感じですが。次はこの2つの立場について自分が書いて、今、思うことを書きます。
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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。