地球は変わっていくかもしれない。変化が起こるとしたらこんな流れだろうか。
三部作の一作目の上巻は壮大な物語の序章に過ぎなかった。この下巻もキリスト教にまつわる物語はまだまだ進んでいない。どちらかと言うと、国際社会の問題が進んでいく。上巻ではわけも分からず、人が死んでいった。ただ、この下巻では人と人の戦いの中で人が死んでいく。
何発もの核爆発が起こり、ある超大国が成り下がり、ある新興国では戦争によって4億人が死ぬ。
地球上には何度も人類を全滅させることが出来る規模の爆弾が存在する。それが抑止力として働き、核戦争は起きないという説があるが、地域的な闘いでは起こりえるとこの本を読んでいると感じる。物語の中では大規模な核攻撃が二回行われる。読んでいて、それはある程度のリアリティを感じさせる。
両親を亡くしたクリストファーの親代わりとなった新聞記者のデッカーは国連事務総長の広報官となり、キリストのクローン・クリストファーよりも政治ゲームの中心で動き続ける。上巻ではそこまでの活躍をしなかったクリストファーは国連の職員となり、人間同士の政治ゲームの中に入っていく。五ヵ国にだけ、強大な権力がある国連の安全保障理事会改革や不慮の事故で亡くなってしまった国連事務総長の跡を継ぐ人間を選出する選挙が政治ゲームの舞台となる。
優秀な国連職員となったクリストファーは次の物語へと歩を進める。キリストのクローンっぽく人外の力を本書の最後でほんの少しだけ使う。”正義”の為に。
この三部作の第一作目は宗教の話というよりも現実世界の物語で進んでいく。上巻で起きた原因不明の大量死については宗教も絡んでくるのかもしれないが、それ以外は人と人の闘い。今の世界は絶妙なバランスで保たれていて何かしらの力によってバランスが崩れた時には激しい闘いが怒っても不思議ではないことを改めて感じさせる。そして、その原因は宗教。
この闘いをキリストのクローンは人間として防ぐことが出来なかった。では、どう立ち向かうのか。それは二作目に期待する。
一作目は二作目以降の伏線が多く含まれている。ただ、伏線だけではなく、国際社会内での闘いが始まり、終わる。国際社会の群像劇な人にもオススメ。
【引用集】
だれだって、自分で選択してここにいるわけじゃないんだ。ただ、いるだけなんだよ(119)
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なぜ、人は生まれたのか。イエス・キリストとは何者なのか。壮大な物語が始まる。 『キリストのクローン/新生 上』
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小檜山 歩
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