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ライブドア事件と堀江貴文への検察の目線~郷原 信郎『特捜神話の終焉』~

一審判決が出たのは2007年3月。この間、収監された、堀江氏が検察と裁判官について語っている。

P37 堀江 裁判官は、自分は世の中を知っていると思っているわけですね

郷原 そうですよ。そういう裁判官に「この不良少年は俺がこらしてめてやる」というような気持ちにさせてしまったのは良くなかったという気がします

堀江 判決は心証ですべて決まっちゃうんですね。

と語っている。ここで裁判官について語っているのだけど、それ以上に、検察については以下のように会話に出てきている。

P72 郷原 ライブドア事件のときの東京地検特捜部長・大鶴基成氏が「闇の不正と闘う」と題した文章で「腐食に利益を貪ろうという人たちは摘発されないように巧妙な仕組みを作っているのですから、多少の困難を前にして捜査をあきらめたのでは彼らの思うつぼです。額に汗して働いている人々や働こうにもリストラされて職を失っている人たち、法令を順守して経済活動を行っている企業などが、出し抜かれ、不公正がまかり通る社会にしてはならないのです」と記しています。大鶴氏の「額に汗して働く」という言葉が事件当時、取り沙汰されましたが。

堀江 彼らの言う「額に汗して働く」っていうのは、決められた給料の中でコツコツとルーティンワークをこなすっていう意味だと思うんですよ。頭で考え策を弄して、週に一日だけ働いて、残りは遊んでいるっていうのが、心情的に許せないんでしょう。

郷原 地道な生活をしろということですね。

堀江 地道な生活から逸脱すること自体が悪いことだと思っているんじゃないですか。

P85 堀江 検察は個人投資家に対して、「お前ら、こんな株式市場なんて賭場に来るんじゃない」と言いたかったんじゃないかと。検察は「君らはコツコツと額に汗して働いて、郵便局に貯金しなさい」というメッセージを発したんじゃないかともおもうんです。証券市場そのものの存在が悪だから近寄るんじゃない。と。

確かにその側面はある。未だに株や不動産取引で儲けたお金を「不労所得」という言葉で表し、あまり良いイメージがない。ずるい人がやること。というイメージがあることは事実で。そのイメージはこのライブドア事件で大きくなった気がしなくもない。昔ながらの高度成長期、必死になれば豊かになれた時代の考え方なんだろう。それを壊しそうな、むしろ、表立って壊し、「お金で買えないものはない」と語っていた堀江氏がやり玉に上がったという見方もできる。この見方は提示される価値がある。

それは、なぜか、堀江氏だけ実刑になったことへの疑問にもつながる。そして、「お金で変えないものはない」ということについて、本人が

P74 堀江 「お金で買えないものがある」っていうこと自体が、社会の中で既得権益を生んだり、非透明性を生んでいる元凶。だからそういうものはないほうが良いっていうことなんですよ、お金万能主義っていうことではないんですよ。この言葉によって、透明な、フェアネスな経済社会を作ろうということなのです。

という発言をしていることにもスポットライトを当てる必要がある。「堀江は悪者だ」という情報のみを受けてきた人への違った視点になる。そして、権力側、裁判所、検察は本当に正義なのか。ということも。そんなに世界は一面的ではないから。

1、この本から学ぶ特捜についての基礎と改革案
http://kohiayu.blog5.fc2.com/blog-entry-720.html
2、ライブドア事件と堀江貴文への検察の目線
3、マスコミと特捜
4、会計士の想い
5、ノットギルティとギルティ

 

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。