オレは現実逃避を選んでいるのかも。と思わせやがった1冊　『モテキ (1) (イブニングKC)』

小檜山歩

13年前

よくあるマンガの恋愛を裏表紙で描いている。
「それから“いつの間に”か、土井亜紀とは“自然に”付き合うようになった
のだけれど・・・」・「恋愛ってさ、彼氏、彼女になってから大変なんだな」
こんな展開が確かに多い。それに対して
「こんなマンガはイヤだ！」「“いつの間に”ってなんだ！？“自然に”ってなんだ！？
省略すんなよ、置いてきぼりにしないでくれ！そこがわかんねーんだよ」
「モテない奴が安心して読めるマンガはないのか！？」という作者の（多分）
激しい思いで描かれたドラマ化され、今は映画化までされている大人気ドラマの第1巻。
全然モテない派遣社会人の男に何人もの女性から連絡が来る。
それも、なんか恋愛に発展しそう。主人公の男本人も発展させたい。
だけど、どうしたら良いか分からない。
タイミングが合わない、男として見られない。などなどでうまくいかない。
でも、はっきりうまくいかないんじゃない。なんとかなるかもしれない。
いろんな恋愛、いろんな段階を一人に凝縮して描いていく。
OKかNGのはっきりしたものだけではない男女の関係。
好きでもないのに、童貞を捨てるためにSEXを行きずりでしてしまう。
「絶対好きって言わせてやる」と思う相手に気付かないで
「ゆっくり好きになる」とかホザく。友達っぽい女の子と一線を超えたくなる。
人を好きになれないけど、うじうじしてよく分からず、
甘えてくる“めんどくさい”女（書いてあるんですよ！）。
マンガはわかりやすくするために1人を1つのキャラクターとして描くのが
ほとんどだけど、1人の人間のいろんな側面を描く。だから、本物っぽい。
OKでもNGでもないよく分からない恋愛もいろいろして、久しぶりに
長い期間、彼女がいない自分は結構心をえぐられましたよ。
正直、破り捨てたくもなった。主人公のだらしなさに。
そして、実在しているように感じてしまう主人公と比べて
全然モテない自分に！それなりに彼女が欲しいと思っている自分と違って、
こんなにチャンスがあるのになんでこんなに中途半端なんだ！
でも、この中途半端さが人を惹きつける？
じゃあ、オレはまだしばらく彼女できない！？あ゛ーー！という感じです。
だから、映画版「モテキ」から逃げて、
「けいおん！！」とか「ももいろクローバーZ」とかの
現実逃避を選んでいるのかも。と思わせやがった1冊。
まあ、とにもかくにも、心に刻まれるし、読んでおいたほうが良い漫画だと思いますよ！
最後は投げやりになってしまったね。☆4つ。
☆5つにしないのは、個人的な感情かも。彼女がいれば☆5つだったかな・・・

モテキ (1) (イブニングKC)

久保ミツロウ
講談社 ( 2009-03-23 )
ISBN: 9784063522594

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