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おなかいっぱいに知的好奇心をみたしてくれる1冊 『COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 01月号』

映画「マネー・ボール」で話題になっているビリー・ビーンという
メジャーリーグ、オークランド・アスレチックスのGM(ゼネラル・マネージャー)。
凄いGMだと思われているけど、ここ3シーズンは「231勝・254敗」と負け越している
という事実。その理由はビリーが始めて『マネー・ボール』でも紹介された
革新的な手法が他の球団に取り入れられ、アドバンテージがなくなったから。
という話があるページに載っている。だからこそ、新しいものを追い求めないといけない。
「1つの成功だけでは、勝者にはなれなんだよ。ビリー・ビーンのように。」という
隠れたメッセージがあり、今回の特集につながっているのかもしれない。
そのタイトルは「「未来」はMITで創られる」、「「未来」はこうして創られる」というもの。
MITとは知っている人も多いと思うけど、マサチューセッツ工科大学のことで、
この大学の中でも「未来を創る研究所」であるメディアラボの全面協力の元、
「未来」を創る場所の特集をしている。施設ももちろんすごいけど、
このラボの根幹となっている哲学が詰まっている面で読み応えがある。
少し分量も多いし、飽きるかもしれないけど、頑張って読んでいくことが大切。
「オープンイノベーション」や「デザイン思考」は少しでも取り入れると
これからが楽しくなると思わせる考え方。
村上春樹の話は、ファンにはたまらないのかな。なんて思う。
今回は特集以外にも気になる話が沢山。キーワード、文章を10コあげよう。
1,「フカヒレを食べたことがある人はたいてい『とくには好きではない』と言う」(68)
2,イスラム政党「アンナハダ」(75)
3,結婚更新制(83)
4,「企業が流通に使う道路は政府が税金で作るんです。労働者は政府が
税金で教育するんです。企業を守る警察も消防も同じです。社会契約の基板として、
そして、次世代のために、税金は必要なんです。」(84)inアメリカ
5,シアター式レストラン(88)
6,ソーシャル資本への投資(109)
7,「ビジネス界や官公庁、国会のトップを占める人たちが、共同体のためと言いつつ、
実際には彼らの個人的利益を満たせるいまのシステムに百パーセント満足
しているからにほかならないのだ。」(125)
8,「立法は国によるそのような「実質上の非法治状態」であることを黙許し、
そして司法は行政判断を追認する」(126)in日本の原発問題
9,フツーの国なら、犯罪が起こる「社会的責任」は、権力側が負うものだ。(127)
10,TPPについて「米国や日本が自由貿易を本気で推進することを考えるならば、
WTO(世界貿易機関)を強化すべき」(142)
かなりこれだけでも内容がたっぷりだと思われるかもしれない。
でも、最後に、「100の革新的ビジネスモデル」という題で、米国のビジネス誌、
起業家や創業を目指す人向けの雑誌であるアントレプレナーの記事を紹介し、
原典か、ここでしか触れることの出来ない新しいビジネス紹介の記事を掲載している。
見なおしてみて改めてボリュームに気付く。☆4つにしようと思ってたけど、
見直して☆5つにします。おなかいっぱいに知的好奇心をみたしてくれる1冊。
素晴らしいです!文系雑誌では群を抜いている。文系雑誌という枠組みを作ること自体
クーリエ・ジャポンに失礼だけど。

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。