総合職共働き人事コンサルのブログ

「世間が許さない」とか、「みんなが怒る」とか、「周りを考えて」とかの言葉への違和感 「世間が葬る」という言葉を使う時、本当に葬るのは世間ではなく…

『人間失格』太宰治 
P90-91

「しかし、お前の、女道楽もこのへんでよすんだね。これ以上は、世間が、ゆるさないからな」
「世間とは、いったい何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実態があるのでしょう。けれども、何しろ、強く、きびしく、こわいもの、とばかり思ってこれまで生きて来たのですが、しかし、堀木にそう言われてふと、
「世間というのは、君じゃないか」
という言葉が、舌の先まで出かかって、堀木を怒らせるのがイヤで、ひっこめました。
(それは世間が、ゆるさない)
(世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)
(そんな事をすると、世間からひどいめに逢うぞ)
(世間じゃない。あなたでしょう?)
(いまに世間から葬られる)
(世間じゃない。葬るのは、あなたでしょう?)

「世間」が許さないとか、「みんな」が怒るとか、「周り」を考えてとか。
それは「世間」とか、「みんな」とか「周り」じゃなくて、
それを言うあなた自身が「許さない」し、「怒る」し、「考え」させたいだけ。

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小檜山 歩

コンサルタント日系総合コンサルティングファーム
渋谷のITベンチャー→日系人事コンサル。会社ではコンサルしながらCSRの活動もしてます。いろいろ無秩序につぶやきます。2017年5月から1年間タイでトレーニーとして働いてました。今は帰ってきて日本で働いてます。